「私の理想とする看護師像とは?」
現実と理想の乖離をどう縮める?第2回看護フォーラム

第2回看護フォーラム(企画:新東京生涯学習運営事務局)が、7月9日午後5時30分より、3階講堂で開催されました。1月に続き2回目となる今回も「『私の理想とする看護師像とは?』――現実と理想の乖離をどう縮める?」をテーマに、6名の看護師と他部署から3名が発表を行い、コロナ禍で緊張が続く中にあって「“大事な何か”を見つけ合う場」となりました。(取材:医療支援課 丸山恭代)

看護部各部署の発表

5A病棟 K.Yさん

業務に追われ、患者さんとのコミュニケーションが取りにくくなっていましたが、病棟全体で話し合い、①内服薬のチェックを夜勤者が実施する ②環境整備を全員ではなく、各受け持ちが実施する、の2点の改善により、ゆとりができ、患者さんの思いをよく聴くことで信頼関係ができてきました。

先生からのコメント

理想の実現のため、行動を起こしたことが素晴らしいと思いました。

7A病棟 K.Yさん

患者さんの中には手術や薬剤治療などの制限を受け入れにくい方もいます。生き方を尊重した対応をするにはどうすればいいのか? 常に考え、話し合いながらケアを行っていきたいです。

先生からのコメント

「話し合っていきたい」という言葉にとても共感しました。その気持ちを持ち続けていただきたいと思います。

外来 Y.Fさん

気配り・心配りのできる看護師になりたいです。忙しい中でも患者さんが出すSOSに気づく、患者さん・ご家族が気持ちを表出しやすい雰囲気を作るなどで、個々に合わせた看護ができると考えています。

先生からのコメント

経験を積みながら少しずつ変わりながら自分の中で落とし込みながら、どう自分がやっていくことはすごく大事だなと思いました。

C棟 M.Kさん

コロナ病棟配属となり、患者さんは身体的だけでなく精神的な苦痛を訴える方が多くいました。訪室も最低限に抑えなければならない中、目線を合わせることやタッチングなど非言語的コミュニケーションを行い、患者さんの言葉に注目して不安や不満を把握するよう心掛けると、少しずつ笑顔が見られるようになりました。患者さんを理解する姿勢は伝わるのだと思いました。

先生からのコメント

困難な状況の中でも工夫を凝らした看護に、感動しながら聞きました。寄り添うだけでなく理解が信頼関係につながることに気づいたことも素晴らしいと思います。

7B病棟 F.Tさん

「患者さんが主役、看護師はスーパーサブ」が理想です。大切なのは患者さんと関わることですが、看護より業務の時間が多いのが現実です。どうするか? 患者さんを看ているのは1人だけではありません。看護師同士・多職種が連携することで、乖離を埋めることができると考えています。

先生からのコメント

看護のための時間のなさを埋めるのはチーム医療、とはっきりおっしゃってくださいました。素晴らしいと思います。

SCU A.Kさん

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)、地域医療や介護連携施設と情報共有の重要性が言われています。私が架け橋役となり意思決定支援が行える関わりができるようにしていきたいと考えています。

先生からのコメント

患者さんが地域へ帰った時を見据えて、は非常に大切な視点です。看護職は何をする人なのか、これからも意識して仕事をしていってほしいと思います。

特別講演

看護部各部署の発表終了後、特別講演としてK先生より「根拠に基づく看護実践と研究の関係」をテーマにお話しいただきました。
「看護研究とは何か」「看護研究の意義と必要性」「科学的根拠の蓄積がよりよい看護につながる。エビデンスをつくる、伝える、使うことが大切」、そして研究の具体的な実践方法等、ここではご紹介し尽くせない貴重なご講演となりました。

他部署より考える“こうあってほしい看護師像”

診療部 T.Iさん

当直中、患者さんが転倒したとのコール。バイタルに異常はなく、大丈夫、と思いかけた時、看護師さんが「いつもと違って様子がおかしい」と。それでCTを撮ったところ、急性硬膜下血腫で緊急手術となりました。患者さんを看ている時間が圧倒的に医師より多い看護師さんからの情報が非常に頼りになったケースです。私たち医師も看護師さんの情報を参考にして診療に当たるべきかと思っています。

リハビリテーション室 T.Nさん

退院時、様々な観点から見て「この患者さんまた帰ってきそう」など、具体的に言える看護師さんがとても素敵だと思います。問題点をぜひリハビリのスタッフとも共有して解決策を立て、一緒に患者さんをよくできればと思います。

医事課 K.Oさん

外来ブースで医師と高齢のご夫婦が深刻な話をしていたようで、奥様が泣いてしまわれた時、看護師さんが駆け寄って落ち着くまで背中をさすって差し上げていました。患者さんのために心で動く姿に感動しました。「寄り添う」とはこういうことなのだと看護師さんパワーの大きさを感じました。

まとめ

K先生

普段の看護をポジティブな側面だけではなく言語化することは、とても大切です。それを共有し、明日に繋げていく。その繰り返しでキャリアが深まります。今後もこういう機会をぜひ活用してください。

H先生

楽しかったです。現場らしい臨床らしい温かさを感じました。それから、他の職種の方々が看護師をどういうふうに思っているのか、とても興味がありました。いやもう本当にうれしかったですね。私たち看護師がものすごく励みになると思いました。