治験について(一般の皆様へ)
くすりとは?『治験』とは?
「くすり」は医薬品ともいい、私たちの病気やけがの診断や治療、健康の維持や増進に効果があるものとして認められたものです。
「くすり」が進歩することで、今まで治せなかった病気が治せたり、今より効果がよくなったりします。
ひとつの「くすり」が使えるようになるまでに10年以上の歳月がかかります。
新たに発見されたくすりの候補は、日本の法律に従った様々な試験を行い、効き目(有効性)と副作用(安全性)を確かめる必要があります。
それらの試験の中で人に使う試験(臨床試験)のことを『治験』といいます。
それらの結果を厚生労働省に申請して認められた新薬は「くすり」として使えるようになります。
新薬ができるまで
1. 基礎試験
新規物質の探索・創製・物理化学的研究
研究室での実験を通じて、たくさんの新規化合物の中から新しい薬の可能性があると判断されるもの、いわゆる『新薬』を選別します。
2. 非臨床試験<動物>
薬理作用試験・毒性試験・薬物動態代謝試験
選別した化合物(『新薬』)の効果と安全性を調べるため、ネズミ・ウサギ・イヌなどを使った動物実験を行います。
3. 臨床試験<ヒト>いわゆる治験
第Ⅰ相試験
少数の健康な方を対象に『新薬』の安全性や吸収・排泄などを調べる試験です。
第Ⅱ相試験
少数の患者で、安全性と有効性を調べ、『新薬』の用法・用量を決めていく試験です。
第Ⅲ相試験
多数の患者で、既存の『くすり』やプラセボと比較して『新薬』の有効性を調べる試験です。
プラセボ:同じ作用の『くすり』がない場合、また副作用を公正に判断するためには有効成分の入っていない「プラセボ」と呼ばれるものと比較して優劣を確認します。
4. 厚生労働省に承認申請・審査(中央薬事審議会)
5. 医薬品製造(輸入)承認・許可
『新薬』が『くすり』と認められる。
6. 医薬品の製造又は輸入薬品の販売
7. 市販後調査
市販後多くの患者に投薬された結果、開発段階では発見できなった副作用や有効性のデータ収集を行います。
治験に関する法律
治験を行うに当たっては、厳しいルールが定められており、『医薬品の臨床試験の実施基準』(Good Clinical Practice:GCP)と呼ばれ、国の法律(薬事法)に基づいています。
このGCPの目的は治験が(1)倫理的な配慮(被験者の人権保護)のもとに(2)科学的に適正(科学的吟味に耐えうるデータの保証)に実施されていることを目的としています。
1990年10月から実施されたGCPは1964年の世界医師総会で出されたヘルシンキ宣言に基づいて作られています。
ヘルシンキ宣言とは「被験者(患者)の利益を科学や社会に対する寄与よりも優先すべき」との原則をはっきり打ち出しており、より被験者の立場を配慮したものです。製薬会社が新薬開発のための試験(治験)を行うにあたってはこのGCPに従って治験を行い、薬としての評価を受けることが義務付けられています。
GCPに基づいて行われる治験
治験を行う病院
十分な検査を行える設備があり、専門の臨床経験豊富な医師をはじめ看護師・薬剤師などのスタッフがそろっており、緊急時には直ちに適切な処置が取れる病院でなくてはなりません。
治験審査委員会(IRB)
治験の依頼を受ける病院では、製薬会社が作成した治験計画内容について参加される患者の人権と安全性が守られているかなどを審議する為に、治験審査委員会(IRB)を設置しています。IRBの委員には病院とは利害関係のない外部の人や薬事専門外の人も含まれます。
インフォームドコンセント
インフォームドコンセントとは、患者が治療を受けるに当たり『かかっている病気のことや、治療方針について十分な説明を受け、患者自身が理解・納得した上で同意する』という意味で、治験にあたっても、治験を行う医師は治験を開始する前に治験に参加する患者に治験の目的や内容を説明文書を使ってよく説明し、患者がそれをよく理解し納得した上で治験への参加を承諾したことを文書として残します。
プライバシーの保護
インフォームドコンセントとは、患者が治療を受けるに当たり『かかっている病気のことや、治療方針について十分な説明を受け、患者自身が理解・納得した上で同意する』という意味で、治験にあたっても、治験を行う医師は治験を開始する前に治験に参加する患者に治験の目的や内容を説明文書を使ってよく説明し、患者がそれをよく理解し納得した上で治験への参加を承諾したことを文書として残します。