院長 兼 心臓血管外科主任部長 中尾 達也
新東京病院心臓血管外科は、平成3年現在の松戸の地に移転した際、右胃大網動脈を使用した冠動脈バイパス手術を世界で初めて開発した元・心臓血管研究所のスーパーバイザーである須磨久善先生を初代の心臓外科部長として招聘し開設されました。その後は天皇陛下の冠動脈バイパス手術を施行された現・順天堂大学心臓血管外科教授である天野篤先生、現・榊原記念病院心臓血管外科部長である高梨秀一郎先生、現・昭和大学豊洲病院心臓血管外科教授山口裕己先生に引き継がれ、現在私、中尾達也が、2014年の1月から心臓血管外科主任部長を任されています。そして新東京病院は今年50周年を迎え、私もここ松戸の新東京病院の地に来て10年になりました。振り返るにそれぞれの時代において注目されてきた心臓血管外科主流領域は心拍動下バイパス手術、僧帽弁形成術(左小開胸下)、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)へと現在に変遷をたどってきました。今までの時代背景が異なってはいるものの、何人かの優秀な心臓外科医が吉田松陰の松下村塾のごとく新東京病院において心臓外科を学んでいます。彼ら先達の努力の結果、新東京病院心臓血管外科はある意味ブランド化し、当然の如く新東京病院心臓血管外科に期待される患者様、院内職員、周囲病院及び社会からの高いニーズに対してお答えできるように精進努力をしなければなりません。すなわち、患者様に優しい質の高い手術を提供する一方で、手術のartをscienceにして、日本の心臓血管外科領域のleaderとして臨床データーを世の中に発信することは常に期待されています。結果として近隣の競合病院とは違った新東京病院心臓外科独自のスタイルを発信していくことにつながると思います。
幾つになっても医学に携わる医療人には、Science(科学)、Art(技術)、Humanity(人間性)の3つの要素(修練坂)が必要とされています。医療人として、心臓外科医として、他の分野の方々、多くの患者さんから学ぶことがいかに多いことかといつも肝に命じ、魅力ある心臓血管外科チームになれるよう「心技愛」という3つの坂を出来る限り登り続けたいと考えます。残念ながら手術を受けて頂いたが元気に退院できなかった患者さんや御家族の想いを、われわれ心臓外科スタッフが肝に命じて、今後も心臓血管外科チームとして患者様に優しい質の高い安定した医療を周囲に透明性を持って提供し、さらに心臓血管外科手術後のどんな問題に対しても、安心して受診していただける施設たるべくスタッフ一同全身全霊で努力を続けてまいります。