消化器外科 松本 寛 インタビュー
安全な治療は当たり前。人間性を重視した治療をしたいです
医療安全管理室室長 兼
消化器外科主任部長
一連の治療に責任を持ってがん手術を行います
私は大学を卒業後、現在でいう後期研修という形でひたすらがんの研修をし、大腸がん一筋に、とにかく症例数を積みました。大腸がんの専門医として、腹腔鏡手術と開腹手術を合わせると、今までに3000例以上の手術をしてきました。がんを専門にする中で大腸という臓器を選んだのは、当時の研修先の部長が大腸がんで有名な先生で、手術はもちろん上手でしたが後輩の面倒もよく見る、とにかく豪快な姿に惚れ込んだことがきっかけです。
がんの治療の中で、手術というのはほんの一部に過ぎません。例えば、診断をして手術をして、フォローをして、抗がん剤治療、緩和ケアまで、というと一連の治療の中で、手術はごく一部分でしかないのです。中途半端な治療は出来ませんので消化器外科医ですが、がんに対する手術では大腸がん以外は手術をしないと思っています。
患者さんと心を繋げられる医療を提供します
新東京病院には低侵襲治療に特化したがん治療の専門施設を作るために、さらに若手外科医を育てる教育プログラムも同時に作るために、入職することを決意しました。ロボット医療に関しても、ここまで特化した施設は大学病院以外ではほぼありませんので、一大チャンスだと思い当院に移りました。今後自分自身がやるべき事としては、後進の指導を重視しています。一人では後輩の指導も難しいですが、当院には信頼できる専門医がおりますので一緒に教育システムを練りながら、若手外科医が伸び伸びと良い技術を身に付けていこうと思えるような環境づくりに励みたいです。
医師として一人ひとりの患者さんを大事にする、というのはよく聞く言葉ではありますが、私は患者さんにのめり込みすぎだとよく言われます。ただそれは私個人の強みでもあると思っています。最高の医療と技術を提供することは当たり前のことですので、そこにプラスして「人間性」というのを大事にしながら日々診療をしています。患者さんといかに心を繋げられる医療が出来るか、というのを最も大切にしています。
限られた時間しかない外来診療においては、ただ病状を説明するだけのような無機質な診療にならないように心がけています。診察室に入ってきた時の表情や、歩き方など患者さんをよく観察し、リラックスして診察を受けられるように、多くの雑談も交えながら外来を行っています。初診の患者様を特に緊張されていることが多いので、立ち上って挨拶することからはじまり、緊張をほぐしながら、安心して診察を受けられるようにすることを心がけています。
優秀でとにかく向上心のある消化器外科チーム
現在の消化器外科のチームは主に卒後10年目以降の若手外科医で構成されています。全国各地から私たちの低侵襲治療と教育プログラムに賛同をして来てくれた医師たちなので、とにかくやる気があり覚悟をしっかり持っている優秀な外科医ばかりです。
消化器内科では幅広い層の患者さんが来られますが、外科に来られる方は悪性腫瘍の患者さんが圧倒的に多く、かつ高齢者の方が多いです。ロボット手術に興味がある方で他県の患者さんもいらっしゃいますし、日本全国から来てくださっています。
診療の中での相談もたくさん受けておりますので、迷ったり不安なことがありましたら是非いらしてください。
根治性の前提を崩さず、低侵襲な治療を行います
当院の消化器外科の特色は、一言で言うとやはり低侵襲です。ロボット手術を含めた腹腔鏡手術、低侵襲治療というのが1番の強みです。現在当院ではすべての手術の多くを腹腔鏡手術で行っています。直腸がんは90%以上を、胃がんはほぼ100%を腹腔鏡あるいはロボット手術で行っているのが当院の特徴です。その中でも、肝臓や膵臓は必ずしも腹腔鏡手術で治療をすることが良いというわけではありません。根治性を大前提とし、それを崩さずにいかに低侵襲で患者さんの体に負担をかけずに治療ができるかを信念としています。
がんの種類、またがんの進行度によって術前治療の適応と判断すれば、術前治療を行ってから低侵襲外科治療を行う事もあります。
地域の先生と連携し、患者さんのための体制を整えます
私はがん治療を専門にしてはいますが、がん患者だけを診察するわけでは有りませんので、とにかくお腹の事であれば、内科外科問わず何でも相談して下さい。 診断、診療をしてみないとわからないと思いますので、責任を持って診療します。当院では二人主治医制を行っていますので、例えばがんの診療は当院で、一般診療はかかりつけ医で、など患者さんがどちらにでも気軽に相談できる環境を作ります。患者さんが迷わずに、治療に専念しやすい、通いやすい体制を整えてあげることが大切だと思っています。