外来診療について
当院では全ての脳神経疾患領域に精通した脳神経内科専門医が外来を担当しています。外来診療は松戸駅前にある新東京クリニックで行っています。外来では頭痛、物忘れ、脳卒中(再発予防や原因精査)、パーキンソン病、てんかん等の患者さんを中心に診療していますが、神経変性疾患や神経免疫疾患の患者さんの診察も行っています。
外来担当医
(非常勤)下山 隆
(非常勤)沓名 章仁
(非常勤)鈴木 文昭
(非常勤)正田 創太郎
(非常勤)山本 せりな
頭痛
頭痛でお悩みの患者さんは多いかと思います。私達は患者さんを診察する際にまずは一次性頭痛(肩こりからくる頭痛や片頭痛など)と二次性頭痛(脳血管障害、脳腫瘍、髄膜炎などの脳の病気による頭痛)の2つに大きく分けて診療を進めていきます。
一次性頭痛は大きく分けて3つのタイプ(筋収縮性頭痛、片頭痛、群発頭痛)があります。一次性頭痛はCTやMRIなどの画像検査では異常がなく、『患者さんの訴え』が診断のカギとなりますので丁寧な問診が非常に大切です。筋収縮性頭痛は日本人成人の約22%(2200万人)、片頭痛は日本人成人の約8%(800万人)の患者さんがいると推定されています。特徴的な症状は以下の表のとおりです。これらの症状を参考に適切な診断を行い、薬物治療や生活習慣の改善などを指導していきます。
筋収縮性頭痛 | 片頭痛 | 群発頭痛 | |
---|---|---|---|
年齢 | 全年齢 | 思春期から30歳代 | 20~30歳代 |
性別 | 性差なし | 女性に多い | 男性に多い |
頭痛の強さ | 軽度〜中等度 | 中等度〜重度 | 非常に激しい |
痛む場所 | 後頭部から頭の両側 | 頭の片側あるいは両側 | 片側の目の周り |
痛みの性状 | 重苦しい 締め付けられる |
拍動性(ドクンドクン) ガンガン、ズキズキ |
ナイフで目がえぐりとられる |
頭痛の持続時間 | 30分から7日間 | 4〜72時間 | 30分〜数時間 |
頭痛の頻度 | 月に数回から毎日 | 月に数回 | 群発性(1~2ヶ月の間に連日)に起きる 発作は1日1回 (夜間〜明け方) |
頭痛以外の症状 | 肩こりや眼精疲労 | ギザギザの光が見える、嘔気・嘔吐、体動に伴う頭痛の悪化、光や音に対する過敏症状 | 群片側の目の充血、涙が出る、鼻が詰まる、鼻汁が出る |
二次性頭痛は脳血管障害(くも膜下出血、脳内出血、脳動脈解離など)、脳腫瘍、髄膜炎などの『脳の病気』によって起きる頭痛です。特にくも膜下出血に伴う頭痛は『人生で経験したことがないぐらいの激痛(ハンマーで殴られたぐらい)』が『突然』起きることが特徴的です。くも膜下出血は生命にかかわる病気であり、脳動脈瘤の破裂によるものが殆どです。今まで経験したことがない激しい頭痛が突然起きた場合は、他に症状がなくても速やかに救急車を呼んでください。
頭痛は筋収縮性頭痛のように比較的軽いものから、くも膜下出血などの生命に関わるものまで幅広い原因があります。ここで取り上げた以外にも、多くの一次性頭痛や頭痛の原因となり得る脳の病気があります。症状は軽度であっても、頭痛でお悩みの方は遠慮なくご相談下さい。
物忘れ外来
高齢化社会に伴い日本の認知症患者数は2012年時点で約460万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。また認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MIC:mild cognitive impairment)」と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。今後高齢化がさらに進み、2025年には、認知症患者さんの数は約700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。
物忘れの症状が気になる方はまずは簡易チェックをしてみましょう。
日付や曜日をよく間違えますか?
物の置き忘れや、探し物をすることが多いですか?
人や物の名前が出にくいですか?
約束の日時や場所をよく間違えますか?
一人で道に迷わないで外出できますか?
同じことを何度も言ったり、聞いたりしますか?
会話につじつまがあわないことがありますか?
最近あった出来事や数分前のことなども忘れますか?
戸締りやガス(火)の管理は大丈夫ですか?
家の中や身の回りが散らかるようになりましたか?
一人で銀行や郵便局での用事は出来ますか?
一人で買い物をしてお釣りなどの計算ができますか?
些細なことですぐに怒ったり、頑固になりましたか?
趣味やテレビ番組、ニュースなどに興味は示さなくなりましたか?
周りに誰もいないのに動物や人の顔などが見えることがありますか?
0-1個
今のところは問題ありません
2-4個
認知機能が少し低下している可能性があります
気になるようでしたら受診をしてみて下さい
5個以上
専門医の受診をおすすめします
当院では医師による問診と認知症検査(長谷川式認知症スケール、MMSEなど)を行い、物忘れの程度を評価します。長谷川認知症スケールで20点以下、MMSEで23点以下の方を認知症と診断します。これらの検査で認知症の基準を満たさなくても、簡易チェックで複数以上の項目が当てはまる方は軽度認知障害の可能性があります。認知症を起こす疾患では、アルツハイマー型認知症、脳血管障害性認知症、レビー小体型認知症が代表的で、この3つの疾患で認知症全体の約80%を占めます。それ以外にも正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、てんかん、甲状腺機能低下症、ビタミンB1欠乏症なども認知症の原因となり、これらの疾患は適切な治療により症状の改善が見込めます。
物忘れ外来では一般外来よりも、時間をかけて患者さんの問診や診察を行います。当院では最初の受診から1週間前後で頭部MRI、脳波、脳血流検査(SPECT)を行える体制を整えました。また医学的なことだけでなく介護保険サービスの利用、運転免許更新、施設入所などの生活全般のことに不安を持たれている方も多いです。当院の物忘れ外来では看護師・社会福祉士もチームの一員として、認知症患者様やご家族が安心して生活を送れるようにしっかりサポートします。