外科的大動脈弁置換術後の生体弁機能不全に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)が当院で施行可能となりました
大動脈弁疾患に対して生体弁を使用して外科的弁置換術を施行後、おおよそ10~15年経つと生体弁が劣化してきます。生体弁が、狭窄(弁の開放が悪く、血液が通りにくくなる)や逆流(弁の閉鎖が不完全のため、逆方向に血液が漏れてしまう)を来たして、正常に機能しなくなった状態を「生体弁機能不全」と言います。これまでは、この生体弁機能不全に対しては、全身麻酔+人工心肺補助下に二度目の外科的開胸手術を行うしか選択肢がありませんでした。しかしながら、高齢で心臓以外にも持病がある患者様は、二度目の開胸手術はリスクが高く、経過観察せざるを得ませんでした。弁機能不全による心不全(酸素が下がって息が苦しくなったり、体が浮腫んだりする)は、薬物治療ではコントロールが難しいことが知られています。
日本への導入が遅れましたが、2018年7月から治療経験の豊富な施設に限定して、外科的生体弁機能不全に対するTAVIが認可されました。TAV in SAVと呼ばれる特殊なTAVIです。通常のTAVIと同様の手順で、基本的には開胸することなく治療が可能です。当院では、全身麻酔ではなく局所麻酔+鎮静(治療中、少し眠たくした状態)をルーチンとしており、海外の最先端施設と同等の超低侵襲TAVIを提供してきました。心拍動下に(心臓を止めずに)、機能が悪くなった外科生体弁の内側に新たにカテーテル弁(Medtronic社Evolut-R弁)を装着します。二度目の開胸を避けられることで、術後の早期離床が可能です。ずっと待ち望まれていた治療法であり、日本の心臓の悪い患者様にとって朗報であることは間違いありません。
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