超音波を用いて主に心臓や血管を体表から観察する検査です。特徴としては、レントゲンのような被爆などの問題がなく、実際に心臓が動いているところを繰り返し観察できることなどが挙げられます。このため循環器領域の日常診療においては欠かせない検査の一つとして確立されています。
安静時の経胸壁心エコー検査の依頼に紹介状は不要で、依頼時のフローチャートを下図に示します。
安静時の経胸壁心エコー検査を依頼したい
当院地域連携室へご連絡
検査日時、検査目的(息切れ症状や心雑音の精査など)の確認
心エコー検査の実施
検査結果の郵送 検査実施後5日以内
経胸壁心エコー検査をご依頼頂くには、まずは地域連携室へご連絡下さい。その際に、心エコー検査を実施するに必要な患者さんの情報をお伺いします。
なお、ダウンロード可能な心エコー検査説明書(リンク)をご用意しておりますので、ご入用の際には印刷して患者さんにお渡しするなどしてご活用頂ければ幸いです。(必須ではありません)
なお、ダウンロード可能な心エコー検査説明書(リンク)をご用意しておりますので、ご入用の際には印刷して患者さんにお渡しするなどしてご活用頂ければ幸いです。(必須ではありません)
当院には、日本周術期経食道心エコー認定者および構造的心疾患心エコー図認証医の資格を持った心臓内科医が在籍しています。
心臓・血管エコーチームには臨床検査技師が在籍し、日本超音波学会認定超音波検査士16名(うち循環器領域10名)、日本周術期経食道心エコー認定者3名、血管診療認定技師1名、心血管インターベンション技師1名を有しています。
医師、検査技師が連携を取りつつ、日々迅速かつ正確な診療を心掛けています。
(2023年11月)
入院施設、及び外来施設を併せて、心エコー機を計10台所有しています。最近ではEPIQ 7C(Philips社)という心エコー機に最新の経食道心エコー検査用プローブであるX8-2t(Philips社)を導入し、リアルタイム性に優れた明瞭な3次元イメージを活用しながら、構造的心疾患の診断、及び最先端の心臓弁膜症カテーテル治療に役立てています。
機械(EPIQ)
プローブ(X8-2t)
3Dイメージ
当院では一般的に施行されている①安静時の経胸壁心エコーだけでなく、専門的な知識や技術を要する②経食道心エコー、③運動負荷心エコー、④ドブタミン負荷心エコーも施行可能です。心エコー検査のみのご依頼の場合は患者さんの安全を考慮して、①安静時の経胸壁心エコーのみ受け付けています。
① 安静時の経胸壁心エコー
心臓を安静時において超音波装置を用いて観察します。最もスタンダードな心エコー検査で、安静臥位の状態で実施しますので患者さんの負担は大きくありません。
② 経食道心エコー
安静時の経胸壁心エコーにおいて、心臓の構造的な異常(例:僧帽弁逆流症などの心臓弁膜症、心房中隔欠損症などの先天性心疾患)が疑われる場合に実施されるのが経食道心エコーです。この検査は、胃カメラの要領で検査用のプローブを口から飲み込み、食道を介して心臓や血管の観察を行います。肺や肋骨などの障害となる構造物が少ないため、より明瞭な心臓や血管の観察が可能です。また、画像データから3次元画像も作ることができ、心臓や血管を3次元的に評価することもできます。食道内でのプローブを操作による苦痛を軽減するために、咽頭麻酔や鎮静剤などを使用しています。
③ 運動負荷心エコー
心臓は運動することにより心拍数、及び心収縮力が増して、安静時に比較して心拍出量を著明に増加させます。この検査の目的は、心臓に運動による負荷をかけて、安静時には発見されにくい症状や心臓の異常などを検出することです。当院では自転車のようなエルゴメーターという機械を用いて負荷を行っております。ペダルにかかる負荷は3分毎に段階的に増していきますが、最初は負荷がゼロの状態(1.0METs)なので家屋内の歩行ができる方であれば安全に施行することができます。運動負荷に要する時間は最大で20分程度ですが、症状や血圧、脈拍などの状況により途中で終了することもあります。この検査の対象となるのは、自覚症状のはっきりしない重症心臓弁膜症の方、あるいは安静時の検査で非重症グレードと診断されたものの運動時に息切れなどを自覚する方などです。
④ 薬剤(ドブタミンというカテコラミン製剤)負荷心エコー
低用量のドブタミンを点滴しながら行う負荷心エコー検査です。主に、低左心機能の患者さんで重症大動脈弁狭窄症の疑いが持たれる場合には真の重症大動脈弁狭窄症を鑑別するため、あるいは虚血性心疾患をお持ちの患者さんにおいては心筋虚血、及び生存心筋の検出のために実施しております。
当院で最近5年間に実施された経胸壁心エコー検査、及び経食道心エコー検査の実施件数を以下に示します。経胸壁心エコー検査数は例年着実に増加しており、経食道心エコー検査について最近3年間は大きく増加していることが分かります。従来の心臓血管外科での手術に加え、構造的心疾患に対する最先端のカテーテル治療が導入されたことが反映されています。
ほぼ全ての患者さんで安全に施行可能です。
胃カメラの要領で施行しますので、心エコープローブが通過困難な場合(耳鼻咽喉・頭頸部や上部消化管の手術後、食道などに腫瘍や狭窄がある場合など)や出血のリスクが高い(肝硬変などで食道静脈瘤、潰瘍性病変がある場合など)と判断された場合には施行していません。場合によっては、CTや上部消化管内視鏡で心エコープローブが安全に通過できるかどうかを予め確認することもあります。なお、滑脱型であれば食道裂孔ヘルニアのある患者さんであっても実施可能です。
臥位でペダルを漕いで心臓に負荷をかける必要があるため、脳梗塞後遺症のために麻痺などの後遺症がある方、関節症など整形外科疾患のある方は、負荷そのものが困難、あるいは十分な負荷が掛からない可能性があります。ご高齢であってもペダルが漕げる方であれば実施可能です。
急性心筋梗塞急性期、不安定狭心症、左冠動脈主幹部狭窄、重症心不全、重症頻拍性不整脈、高度な伝導障害、大動脈解離等の重篤な血管病変、コントロール不良の高血圧症などの患者さんにおいては、ドブタミン負荷心エコーの実施は禁忌となっております。
通常、エコー検査のレポートは検査当日に作成し、5日以内に速やかに郵送にてご報告差し上げています。万が一、検査結果が重篤な場合や患者さんの状態が悪いと判断された場合には、検査を依頼された先生方に緊急でご連絡させて頂いたり、通常の診療に切り替えさせて頂いたりすることもございます。この点は予めご了承下さい。
外来診療は新東京ハートクリニックで
承っております。