腹部ヘルニア 専門治療

早期診断・早期治療で
日常生活へのスムーズな復帰を
サポートします

ABOUT ヘルニアとは?

体の中の臓器や組織の一部が、
本来あるべき場所から
飛び出してしまう状態 のこと
よく耳にする『椎間板ヘルニア』は、背骨の軟骨(椎間板)が飛び出して神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす病気です。一方、当ヘルニアセンターでは、『脱腸(鼠径ヘルニア)』のように、腹部の内臓が筋肉のすき間から外に出てしまうタイプのヘルニアを専門的に治療しています。
ヘルニアを放置すると?
徐々に増大する
腹部臓器が出たり戻ったりを繰り返すうちに、穴が広がり徐々に大きくなってきます。
緊急手術のリスク
脱出した腸が戻らなくなり、血流が止まる嵌頓(かんとん)という状態になる可能性があります。腹痛や嘔吐が起こり、緊急手術が必要になることもあります。
ドクター紹介
消化器外科副部長 砂川 秀樹
専門 消化器外科 / 内視鏡外科
患者様が安心して生活ができるよう負担の少ない低侵襲な治療を心がけます

FEAUTURES 当院の特徴

  • 01
    低侵襲手術
    当院には手術の技量が担保された医師(技術認定医)が5名在籍し、傷の小さな手術を積極的に行っています。
  • 02
    豊富な手術実績
    年間150件以上のヘルニア手術を行っています。
  • 03
    充分な合併症ケア
    心疾患などの合併症をお持ちの患者さんに対しても、他科と連携して安全に診療を行います。

TARGET DISEASE 対象疾患

  • 01 鼠径部そけいぶヘルニア
    腸の一部が鼠径部から皮膚の下に出てくる状態で、特に男性に多くみられます。自然には治りません。
  • 02 閉鎖孔へいさこうヘルニア
    骨盤の奥にあるすき間(閉鎖孔)から腸が飛び出すまれなタイプで、高齢のやせた女性に多く発生します。
  • 03 腹壁瘢痕ふくへきはんこんヘルニア
    過去の手術の傷あと(瘢痕)から腸が出てくるタイプで、術後しばらくしてから起こることもあります。
  • 04 さいヘルニア
    へその筋膜の弱い部分から腸が脱出するヘルニアです。小児では自然に治ることもあります。
  • 05 白線はくせんヘルニア
    おなかの中央(白線)部分が弱くなって、腹腔の内容物が押し出されるまれなタイプです。
  • 06 食道裂孔しょくどうれっこうヘルニア
    胃の一部が横隔膜のすき間から胸のほうへずれ上がる状態で、高齢者に多く見られます。
閉鎖孔へいさこうヘルニア

閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の奥にある「閉鎖孔」と呼ばれる穴から腸が脱出してしまう珍しいタイプのヘルニアで、特に高齢のやせた女性に多く見られます。太ももの内側の痛みや、膝の反射の異常などが症状として現れることがあり、「腸閉塞」を引き起こすこともあります。

症状がわかりにくいため診断が遅れることもあり、腸の血流が途絶える「絞扼(こうやく)」のリスクが高いため、見つかり次第、早急な手術が必要となります。画像検査(CTなど)による確認が診断に有効です。

腹壁瘢痕ふくへきはんこんヘルニア

腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアは、過去に開腹手術を受けた部位の傷あと(瘢痕)から腸が脱出してしまう状態です。お腹に力を入れたときに、術創部が膨らむ・痛むといった症状が見られます。

再発しやすいため、手術では「人工メッシュ」を用いて腹壁を補強する方法が一般的です。腹腔鏡手術で対応できる場合もあり、術式はヘルニアの大きさや患者さんの状態に応じて選ばれます。

さいヘルニア

臍ヘルニアは、おへその部分の筋膜のすき間から腸が脱出する病気で、「でべそ」として知られる状態と似ています。乳児期には自然に治ることもありますが、成人の臍ヘルニアは自然治癒せず、手術が必要なことが多いです。

長時間立っていたり、腹圧がかかることで膨らみや違和感を感じるようになります。悪化すると嵌頓(かんとん)のリスクもあるため、早めの受診が望まれます。

白線はくせんヘルニア

白線ヘルニアは、腹直筋というお腹の筋肉の中央を通る「白線(はくせん)」という部分が弱くなり、腹腔内の脂肪や腸の一部が外に飛び出すヘルニアです。上腹部の膨らみや違和感、痛みを感じることがあります。

比較的まれなヘルニアで、診断には視診・触診と画像検査を組み合わせて行います。基本的には手術での修復が必要で、症状や大きさに応じて術式が検討されます。

食道裂孔しょくどうれっこうヘルニア

食道裂孔ヘルニアは、横隔膜のすき間(食道裂孔)から胃の一部が胸の中に入り込んでしまう病気で、高齢者に多く見られます。胃酸が逆流しやすくなるため、「逆流性食道炎」を伴うことがよくあります。

胸やけ・吐き気・げっぷ・飲み込みにくさなどの症状が見られ、内視鏡検査やX線検査で診断されます。軽症であれば薬物治療で対応しますが、重症化する場合や薬で改善しない場合には、手術を検討します。

ABOUT INGUINAL HERNIA 鼠径部ヘルニアについて

鼠径部ヘルニアとは?
おなかの中の臓器が、
足の付け根のすき間から
外に飛び出してしまう状態です
立ったり、お腹に力が入ったりすると、足の付け根がふくらんで見えるのが特徴です。
鼠径部には、生まれつき弱いところがあったり、年齢とともに筋肉や膜がゆるんだりして、お腹の中の圧力に耐えられなくなることがあります。
これによって、腸などがすき間から飛び出してしまうのです。
よく見られる症状
足の付け根が
ふくらむ
立ったときやお腹に力を入れたときに、片側の足のつけ根にふくらみが出てきます。
手で押すと
引っ込む
手で押すとふくらみが引っ込むのが特徴で、日によって大きさが変わることもあります。
たまに
違和感がある
「つっぱる感じ」「重だるさ」「何かが出ている感じ」などの違和感として現れることが多いです。
発症しやすい人
中高年以降の
男性
加齢により筋肉や組織が弱くなり、鼠径部のすき間から腸が出やすくなります。
小さなお子さん
生まれつきの腹壁の弱さが原因で、泣いたときやいきんだときに、足のつけ根がふくらむことがあります。
よくお腹に力が
入る人
重い物を持つ仕事、慢性的な便秘、咳が続く人など、お腹に強い圧力(腹圧)がかかる人もリスクが高くなります。
診察方法
触診
医師が患部に直接手を当てて診察する方法です。
鼠径部にふくらみがあるかどうか、またそのふくらみが押して戻るかを確認します。
超音波検査
超音波を使って体の内部をリアルタイムで映し出す検査です。
皮膚の上からゼリーを塗り、プローブを当てて観察します。痛みもなく、安全な検査です。
CT検査
体を輪切り状に撮影し、内部構造を立体的に可視化する検査です。 腹部全体を広く見ることができ、見逃されやすいタイプのヘルニアにも有効です。
治療方法
腹腔鏡手術

お腹に5mmの穴を3箇所開けて、カメラと器具を入れて行う手術です。腹腔内または腹膜の下からアプローチし、メッシュを広く当てて補強します。傷が小さく、痛みが少なく、回復が早いのが特徴です。

メリット
傷が小さく、術後の痛みが少ない
デメリット
症例によっては適応できないことがある
鼠径部切開法

皮膚を切開して直接ヘルニアの部分を補強する手術です。飛び出した臓器を元に戻し、脱出した部分の周囲に人工のメッシュ(補強材)を当てて弱い部分を補強します。

メリット
全身麻酔がかけられない様な全身状態が悪い方に局所麻酔で行えます。
デメリット
傷がやや大きく、術後の痛みが出やすい

FLOW 入院の流れ

仕事を休まず治療できます

当院では、前日入院・翌日退院の「二泊三日入院」を基本としていますが、仕事などで平日の入院が難しい方のために、土日を活用した「1泊2日入院」も実施しています。
ライフスタイルに合わせて、無理のない入院スケジュールをお選びいただけます。

下記に掲載しているフローは「1泊2日入院」の一例です。詳細はご相談ください。

手術前日
前日の夕食は21:00までに済ませてください。
01
手術当日
起床後から絶食ですが飲水は6時までしていただけます。8:30に来院し受付にて入院手続きを行ってください。
02
入院
病棟に移動し手術着に着替え、看護師によるバイタルチェック・医師による診察を行います。
03
手術
1件目の手術は10時から開始します。手術室には歩いて入室し全身麻酔で手術を行います。手術時間はおよそ1.5時間程度です。
04
術後
病棟帰室後3時間はベッド上で静養していただき、問題がなければ歩行・食事が可能となります。手術翌日朝に医師が診察し退院となります。(症状に応じて入院を延長することが可能です)
05
退院
次回来来の予約票と鎮痛剤をお渡しし退院になります。受付にてお支払いを済ませてください。
06

FAQ よくある質問

Q1.鼠径ヘルニアとはどういう病気ですか?

お腹と足の境界に弱いところがあり、そこからお腹の臓器が飛び出してしまう病気です。

Q2.鼠径ヘルニアの症状にはどのようなものがありますか?

「立ったりお腹に力を入れたりすると足の付け根が膨らむが、横になるともとに戻る」が主な症状です。人によっては違和感・不快感・痛みを感じる事があります。

Q3.鼠径ヘルニアはどのように診断されますか?

医師による診察・触診でおよそ9割診断されます。診断が難しい場合には超音波検査やCT検査を行います。

Q4.鼠径ヘルニアは治療しないとどうなりますか?

出たり戻ったりを繰り返すうちに徐々に大きくなっていきます。嵌頓(脱出した臓器がはまって戻らなくなる)すると緊急手術が必要になることが多いです。

Q5.鼠径ヘルニアの治療法にはどんなものがありますか?

鼠径ヘルニアの唯一の治療法は手術です。腹筋運動や内服治療で治ることはありません。

Q6.鼠径ヘルニアの手術はどのように行われますか?

腹腔鏡手術(臍とその左右の計3箇所に5mm傷をつけて中から穴をふさぐ)と前方到達法(病変近くから4-5cmの傷をつけ外から穴をふさぐ)があります。どちらも人工膜(メッシュ)を用います。

Q7.鼠径ヘルニアの手術はどれくらいかかりますか。

片側でおよそ1時間~1時間半程度です。

Q8.鼠径ヘルニアの手術後、回復までどのくらいの時間がかかりますか?

全身麻酔で手術を行った場合、術後3時間から飲水・歩行を開始します。

Q9.手術後に活動を再開するまでの期間はどの程度必要ですか?

退院後から日常生活(散歩・家事・事務仕事)をしていただいてかまいません。腹圧が強くかかる運動は、メッシュがずれる原因となるため2週間は控えてください。

Q10.鼠径ヘルニアの手術後に再発する可能性はありますか?

過去の全国統計では約1%で再発すると報告されています。

Q11.鼠径ヘルニアが発見された場合、すぐに治療する必要がありますか?

痛みを感じる方は早めの治療をお勧めします。また女性の鼠径ヘルニアは嵌頓(脱出した臓器がはまって戻らなくなる)しやすいため診断と同時に治療を検討してください。

Q12.鼠径ヘルニアの痛みを和らげる方法はありますか?

痛みは嵌頓(脱出した臓器がはまって戻らなくなる)のサインです。嵌頓を放置していると臓器が壊死してしまう可能性があるため、痛み止めを飲んで紛らわすのではなく早めに医療機関を受診してください。

Q13.平日は仕事が忙しいので週末に治療をしてほしいのですが。

当院は月曜から土曜日まで手術をしています。土曜日に入院・手術を行い翌日退院する「週末1泊入院」も行っていますので担当医と相談してください。

Q14.鼠径ヘルニアの治療費用はどの程度かかりますか?

患者さんの状態や入院日数にもよりますが、3割負担の方で10~15万円程度かかります。

SURGERY RESULTS 手術実績

鼠径ヘルニア修復術大腿ヘルニア・
閉鎖孔ヘルニアを含む
食道裂孔ヘルニア修復術
腹壁瘢痕ヘルニア修復術臍ヘルニア・
白線ヘルニアを含む
2020年度
114件
1件
17件
2021年度
123件
2件
21件
2022年度
146件
1件
9件
2023年度
171件
2件
20件
2024年度
157件
7件
20件